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Saraのインディアナ州-アメリカへの高校生-留学-体験談10ヶ月目|高校留学ブログ日記

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Saraのインディアナ州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 10ヶ月目

 

   今、なんだか複雑な気持ちだ。1年間のアメリカ留学を終え、私は本当に成長できたのだろうか。実は何も変わっていないのではないか。私はこれからどうしていくのか。さびしいような、情けないような、悔しいような何とも言い表せない気持ちが私の中に渦巻いている。


    私の留学はこういうものだったと今はまだはっきりと言い表せないが、一つだけ確かなことがある。私は本当にたくさんの人に支えられてきたのだということだ。もちろんこれは当たり前のことであり、私も頭の中ではわかっているつもりだった。しかし、つい自分ひとりで生きてきたかのような傲慢な気持ちになってしまったり、自己中心的な思考に走ったりしてしまった。
   この1年、初めて親から離れて生活した。今まで私がどんな失敗をしても、どんなにひどいことをしても、結局、理解し助けてくれた親はそばにいなかった。この年にもなって恥ずかしいが、やはりどこかひとりでは頼りなかったし、さびしいときもあった。しかし、アメリカにも困っているときや悩んでいるときに私の話を聞いて抱きしめてくれ、励ましてくれるホストファミリーやコーディネーター、そして友達がいた。彼らなしでは私は無事に留学を終えられなかっただろう。こんなにすばらしい人に出会うことができて私は本当に幸せだ。


    留学最後の1か月は文字どおり、風のように過ぎていった。留学を始めたころはまだまだあると思っていたが、いつのまにか終わりが見えてきてしまった。周りが夏休みだと盛り上がっているのとは対照的に、私のアメリカでの生活はもう終わるのだと思うと、さびしい気持ちはどんどん強くなっていくように感じた。日本に帰る日など来なければいいのにと思ったこともあった。これまでアメリカで過ごしてきた日常が突然終わるのだ。これからの自分の姿が想像できず、不安だった。
空港でホストファミリーと最後のお別れの挨拶をしたとき、私はどうしていいかわからなかった。この1年間、私のことを本当の家族のように迎え入れ、理解し、私のためにたくさんのことをしてくれた彼らに感謝の気持ちなど伝えたいことはたくさんあったのだが、なかなか言葉が出てこなかった。ただ抱き合って泣いてしまった。このような人たちにめぐり会えたことは私の一生の宝物だ。


    いろいろな人に会ってその人たちと考えを共有し合えたのも、私の宝物となったと思う。アメリカでそれぞれ違ったバックグラウンドを持つ人と話をすることで、世の中にはいろいろな人がいるということを実感することができた。今、地球上には70億人がいて、192もの国、そしてそれ以上の民族や文化から成り立っている。もちろん私が知ることができたのはまだわずかだろうが、留学したからこそわかることができたことがたくさんあったように思う。人それぞれ考え方は違い、人間ひとりひとりがお互いのことを完全に理解することは難しいかもしれない。しかし、その人がもつ文化や風習、考え方を少しでも知ることは、これからの世界で非常に大切なことになってくるのかもしれないと感じた。


    留学して考えが変わったことがある。例えば、宗教問題のことだ。世界で今起きていえる紛争のうち、おそらくその半分以上が宗教、または民族問題が関係していると言われている。ある宗教の信仰や慣習が他の宗教の考え方とは矛盾していると思ったり、またただ単に不快に思ったりすることはあるかもしれない。ある特定の集団を攻撃すれば、争いを望まない人も巻き込んで紛争に発展する可能性もあるだろう。また少数派が不利な立場に追いやられてしまうこともあるだろう。もちろん、多くの国で信仰の自由を認めていて、どの宗教を信じるかは人の自由である。しかし、世界の至る所で大きな争いとまではいかなくても、宗教や民族間の差別や小さな対立などが起こっている。留学する前はどうしてそのようにその宗教を信じているからという理由で差別したり、時には武力で攻めたりするのだろうと思い、そういうことをする人たちに対して単純に憤りを感じていた。しかし、世界宗教やアメリカ史のクラスを受けて私の考えは浅はかだったのだと気づかされた。
    宗教や民族間の争いについての授業で、こういう問題に対してどう思うのかということをクラスで話し合う機会があった。自分の信仰を否定するような他の宗教のことを理解するのは難しいと言う人もいたし、一方で他の宗教についてもっと知りたいという人もいた。宗教はほとんどの場合、お互いに矛盾してしまうのは避けようがない。例えば、キリスト教はキリストが磔の刑にされることによって全ての人間を罪から救ったという教えだが、一方イスラム教ではイスラム教を信仰することだけが人間が救われる術であるとしているので、キリスト教を否定していることになる。また、他の宗教を信仰する人にとっては神の存在がない仏教は変わっていると思われることもあると知った。人は自分の考えと矛盾するものを批判しがちだ。他の人を攻撃したり差別したりすることはもちろん許されるべきではないが、そうしてしまう理由も今ではある程度納得できるし、この問題を根底から解決するのは多くの人の理解と協力を必要とすることがわかった。
     自分と全く違う人を理解するのは難しいし、それをすべての人に求めるのには限界がある。しかし、たとえ理解することはできなくても、ただお互いのことを知って存在を認めることはできるのではないかと思う。世界がさまざまな民族から成り立っている以上、そういう人もいるのだとまず受け入れることから始めることが大切になってくるのではないかと思う。


    国連など世界の問題解決に携わるような国際的な仕事に将来就きたいと思って行った留学だったが、日本を外から見るという違った視点を持てたことは大きいと感じている。例えば、現在、日中や日韓関係が悪化している中で、日本を非難する中国や韓国のことを嫌う日本人がいる一方、いまなお日本との戦争の傷をかかえている中国人や韓国人も少なくないだろう。しかし、このような状況で私たちが忘れてはならないのは、すべての国民が同じように考えているわけではないということだ。私の学校に中国からの留学生がいたが、彼女によれば、もし国民が中国政府に不満を持っていたとしても政府を批判することは許されないのだそうだ。そして、日本との関係をよくしたいと思う中国人も多いと話していた。私たちがメディアから入手できる情報は限られている。その限られた情報を全てのことに当てはめるのではなく、まずは国民同士がお互いに歩みよろうと努力をすることが問題解決の糸口となるのかもしれないと強く思うようになった。


    留学をして気付いたもう一つの大きなことは自分の弱さだ。留学は自分との闘いだと思う。アメリカでの生活は自分で決めることが多い。それは自分が挑戦すればそれだけ大きなものが得られるし、逆に言えば何も努力しなければ何も残らないということだ。この1年間、自分なりに努力をしようと決意して日本を発ったが、果たしてどれだけのことを残せたのかと振り返ると、残念ながら雰囲気に流されたり、楽な方へ逃げたりしたこともある。今、留学を終えて、あの時こうすればもっとよかったと悔やむことがあるのはやはり自分の気持ちの弱さに原因があると思う。本当は貴重な留学の機会に見合うだけの結果が必要だったのだが、それだけの結果を出せたのかと言えばいささか自信がない。弱い自分に負けないように強くならなければならない。


    最後に、私を1年間留学させてくれた両親、そしてBIEEのスタッフ、私を支えてくださり、ありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。

 

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